最近中華にクラゲが使われないケースが見受けられます。我々「くらげ普及協会」としても憂慮すべきことですので、薬膳調理指導員でフードコーディネイターの小山惠子先生になぜ中華の前菜にクラゲが使われるかを解説していただきました。

 中国料理の前菜と言えば“クラゲ”が定番中の定番。それに蒸し鶏や、砂肝、白菜の漬物等やそのお店のお勧めが加わって2種や3種前菜盛り合わせとなるのが常。勿論、その中で何時も主役の位置にはクラゲがあった。ところが、ここ数年ホテルの中国料理レストランや、街場のお店でクラゲ離れが起きている。何故?! 
 ある中堅のホテルのシェフに尋ねると「中国料理の前菜は種類が沢山あります。クラゲだけじゃありませんから」と返ってきた。確かに。でも、“医食同源”(そう言う言葉は無く“薬食同源”が本当)の国の料理ではないのか?!中国料理は、改めて生薬を使わないまでも自然と食材や味が薬膳の組み立てになっている。それが凄いところで、何時も感動するところだ。
 クラゲは、薬膳では「肝」と「腎」に良い食材。肝の異常な活動を穏やかにし、毒素を分解する。又、消化器系に溜まった老廃物を溶かし、腸に潤いを与え、活動を円滑にするとされている。さらに「肝」に良い味は酸味。これから食事(宴会)をスタートさせる時、お酒も適度に摂るだろう。その前菜に肝に良いクラゲを酢で調味して(薬膳的には甘酢がベストな組み合わせ)提供すると言うのは、もっとも理にかなった薬膳の理念を踏まえた王道の献立と言える。
 中国料理の根本には、薬膳の思想が脈々と生き付いている。その、中国料理で、クラゲ離れが起きているというは、料理人の勉強不足も甚だしく、まことに残念な状況である。
料理研究家・薬膳調理指導員
Food Coordinator  
小 山 惠 子