エチゼンクラゲは「沙クラゲ」「新大連クラゲ」「天然エチゼンクラゲ」などいろいろな名前で流通しています。中国では「エチゼンクラゲ」を「沙クラゲ」と言い、皮(傘)の表面がザラザラしているのが特徴です。「沙」は中国語でザラザラしたという意味で、猫の舌のようにザラザラした感じですので日本では「猫舌クラゲ」とも言われてきました。中国でも成長すると1m以上の大きさにもなります。
  日本でも秋頃エチゼンクラゲが漂着するようになりました。日本で加工するとコストが高くなる上に、エチゼンクラゲは高く販売できるクラゲではないため、日本で本格的に加工する人がいませんでしたが、最近は加工する人も出てきています。

 

(傘の部分、Body)

(1)「沙クラゲ」「新大連クラゲ」「天然エチゼンクラゲ」など

<産 地>
中国渤海湾
<状 況>
以前中国国内の店は沙クラゲを使い、大連クラゲ(ビゼンクラゲ)は日本向けのクラゲでしたが、中国の発展に伴い大連クラゲも中国国内で使われ、逆に日本では景気が悪くなったことで今まで使われなかった単価が安い「沙クラゲ」(中国産エチゼンクラゲ)を使うお店が増えました。
<特 徴>
表面が猫の舌のようにザラザラしていますので、多くは中国で4mm、6mm、8mmなどにカットされ輸入されています。
<肉 質>
軽く巻き、肉質は柔らかく、ザクザク感があります。
<使用先>
業務用の中華の前菜に使われ、単価を重視しているお店で多く使われています。

 
 
中国旅順の沙クラゲ漁
  中国旅順沙クラゲ加工場  

中国旅順沙クラゲ加工場

 
 
中国産沙クラゲの加工場
  中国産沙クラゲ   中国産沙クラゲ8mmカット
 

(2)「国産越前くらげ」

<産 地>
日本海沿岸
<状 況>
日本海の各地で加工はされていますが、業務用で販売されるまでには至っておりません。ただ京都府では加工会社がエチゼンクラゲを加工し製品を作っており、また福井県では6年位前から量は少ないのですがコツコツ加工して製品化している人もいますし、また石川県でも加工する業者も出てきています。
<特 徴>
やはり中国産沙クラゲと同じように表面がザラザラしていますが、そんなに目立ちません。
<肉 質>
加工して2種類エチゼンクラゲがいることがわかりました。一つはクルクル巻きコリコリ感があります。もう一つはあまり巻かず柔らかいです。
<今 後>
「国産くらげ」というネームバリューを生かせるため加工する価値はあると考えますが、漁民の方、加工する人、販売する人、皆が商売になるようにするには、少しでも高く販売できる良い品質のエチゼンクラゲを加工することが出来るかどうかが鍵となります。また今後生のエチゼンクラゲを使った新しい料理を開発し食べてもらうことが一番良い方法とも考えています。加工する経費が不要になり、生エチゼンクラゲを料理に出来たならば漁民の方も魚と同じように市場で販売でき、各地に広がれば今まで厄介者だったエチゼンクラゲを今度は逆に漁民の方が自ら獲りに行くことも考えられ、日本でのエチゼンクラゲ漁が始まる可能性も期待出来ます。

 
 
  エチゼンクラゲ(福井県)
  定置網漁   定置網に入り込んだエチゼンクラゲ
 
 
 定置網の引き上げ
  エチゼンクラゲ捕獲加工した   「国産越前くらげ」